誠-巡る時、幕末の鐘-
奏がナルに掴みかかろうとした時……。
「ただいま戻りました〜」
「……げっ」
再び来た道を戻っていこうとする影を、奏は逃がさなかった。
「お帰りなさい、千早。お迎えが来ていますよ??」
奏に腕を掴まれ、観念したのか大人しくしている。
「もうちょっと楽しめるかなぁって思ったんだが」
「千早君??」
口調が突然変わった千早に、響は驚きを隠せないでいる。
「響、彼、千早は神様だったんだよ」
「………ええぇっ!!?」
衝撃発言をした奏と千早の顔を交互に見比べている。
千早は、ニヤッと見た目にそぐわぬ笑みを浮かべることで肯定していた。
「探しましたよ〜!!どこ行ってたんですか〜!?」
「ここだ」
至極当たり前のやり取りをし、みんなを見回す。
その顔はしてやったりと満足げだ。
「奏、彼は??」
珠樹が奏に尋ねた。
「私の元老院での直属の部下だよ。ナル!!」
こっちに来るように手招きした。