誠-巡る時、幕末の鐘-



「星鈴が二人!!」


「馬鹿か。双子の兄の珠樹よ」




ナルの言葉を軽く一蹴して、珠樹を紹介した。




「どうも初めまして。奏がお世話になってるみたいだね」


「いえいえ。お世話になっているのはこっちの方ですよ!!」


「……そう」




珠樹はナルが苦手のようだ。


沖田のような性格の方が相手をしやすいみたいだ。




「フェルナンド様から話は聞いています!!良かったですね、再会できて!!」




フェルナンドとは第六課の長で、奏とナルの上司だ。




「あ、ありがとう」




珠樹は手をブンブン振るナルの手をそっと離した。




「ほら、見つかったんだ。さっさと帰れ。とっとと帰れ。すぐ帰れ」


「ちょっ!!押さないでくださいって!!戻りますから!!」




その言葉を聞き、やっと押すのをやめた。




「あぁ、そうそう。翁が文の返事を早急に出すようにだそうです」


「……」




奏は無言で扇子をとりだし〜、振りかぶって〜、投げつけた〜っ!!




「うわっ!!」


「ちっ!!」




紙一重で避けられてしまった。



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