誠-巡る時、幕末の鐘-
「……な、に!!?」
珠樹は桂の横に素早く動き、刀を逆手にとり、桂の手から奪った。
「ほらね??」
「貴様ら、鬼か!!」
余裕の表情を見せる珠樹。
真夜中にも関わらず、剣の腕をなめられて、怒声を上げる桂。
「どちらが強いかなんて、見なくたって分かるじゃない??」
奏は辺りに声や音が漏れないように、結界を張りながら様子を見ていた。
「鬼ですけど??何か??」
「新撰組が鬼を飼っているとはな」
この言葉に、誇り高い珠樹がキレた。
「あいつらが、僕達を飼ってる??馬鹿じゃないの??」
珠樹が刀を首に押しつける。
ツウッと血が一滴流れた。
「僕だって、あいつらが早く死んでくれないかなって思ってるのに」
珠樹は奏に聞こえないように桂の耳元に囁いた。
「鬼は誇り高い種族。人間と同じにされては困るね」
再び顔を離して言った。
「どういうつもりだ??新撰組の仲間じゃないのか??」
頭のいい桂も、さすがに珠樹の言葉の意味を計りかねていた。