誠-巡る時、幕末の鐘-
「なんか……な」
最初に口を開いたのは藤堂だった。
「同情はいらん。…俺はここに、この京都の妖の異常発生を解決しに来た」
「妖?」
「あぁ。響も襲われた。その時に会ったんだ」
「まずいだろ、それ」
(あぁ、まずいさ!!
だから時間が惜しいと言ってるだろうが!!
何回帰るのを邪魔したんだよ!!)
「星鈴様、これを」
星々が差し出してきた手には、見覚えがある物が乗せられていた。
(ん? これは……)
「…っ!! やった!! 院長の許可証!!」
「許可証?」
「あぁ、抜刀するのを認められた!!」
これが無いとやりにくくて仕方ない。
星鈴…奏は六角形の小さな板に紐がついたものを大事そうに受け取った。