誠-巡る時、幕末の鐘-
―――奉行所
「なるほど。そこで貴殿がこの者を捕らえたのだな??」
「そうですよ」
奏はお利口にも、犯人を奉行所につきだしていた。
以前にも同じことがあって、土方にこっぴどく叱られたのだ。
あの時は、奉行所に連れていかずに、そのまま屯所に引きずっていった。
まさしく、言葉の通りにズルズルと。
髪の毛をむんずと掴んで。
まったく、あいつの説教はなっがいながい!!
足が痺れるから嫌なんだ。
あれくらいで半刻も正座で聞かせるか、普通!?
土方の必死の指導にも関わらず、奏は相も変わらず全く反省していない。
ちなみに役人に対して丁寧な物言いなのは、役人として素晴らしい男だったからだ。
断じて奏の性格が良くなった訳ではない。