誠-巡る時、幕末の鐘-
「何だってんだ!?いきなり人の頭思い切り揺さぶりやがって!!」
「私の甘味がまたおじゃんになった〜!!」
「……またかよ」
これが溜め息混じりに言わないでいられようか、いや無理だ。
土方が呆れたように言うのも仕方がない。
なにせ甘味を食べに行った帰りには、二日に一回はこうなっている。
毎日行っているのだ甘味屋に、奏は。
その甘味に対する感情は、もはや執念としか言いようがない。
感心すらできてくるから不思議だ。
「お前、気配察知するのは得意だろうが」
「だって……」
「目の前の甘味に夢中になってたんでしょ??」
「その通りで…」
奏も珠樹の言葉に素直に頷いた。
だって目の前の美味しそうな甘味が早く食べて食べて〜って誘ってたんだもん。
無視しちゃ可哀相でしょ〜っ!!?
明らかに妄想だ。
これでは完全に頭が痛い子だ。