誠-巡る時、幕末の鐘-
「ちょっと、どこ行く気??」
跳躍しようとした時、足を引っかけられた。
ドコッ!!
奏は真っ正面から塀にぶつかった。
いささか…多少……かなりやばめの音が奏の額あたりから聞こえてきたような。
「……ちょっと、何するの」
珠樹が声を低くして、現れた人影を睨み付けた。
だが、その人影はまったく意に介さない様子。
「あれ〜??土方さんが二人いるよ〜??あはは〜土方さんも双子だったんだ〜」
「お、おい。大丈夫か??」
土方も余りの音と奏の言動に心配している。
奏は、初めまして、と腰を折っている。
………かなり重症だ。
骨が折れたとか血を流したとかはないが……さすがは鬼。
むしろ重症なのは……頭の中身だ。