誠-巡る時、幕末の鐘-
「…………あ」
しまったと思った時にはすでに時遅し。
「ふ〜ん。僕の頼みが聞けないんだ。残念だなぁ〜。これ、潮からの土産なんだけど」
レオンの手には、元老院第二課長からの手土産が握られていた。
見ると、さすが料理の達人!!
美味しそうな焼き菓子だった。
ゴックン!!
奏は無意識に唾を飲み込んだ。
「そういえば沖田君って甘い物好きだったよね??これ全部食べちゃっていいよ」
「本当??嬉しいなぁ、ありがとう」
この二人、気が合うのか、会ってそうそう友人になった。
この二人が組めば、人にも妖にも適う者はいないだろうとつくづく思う。
「もう一度聞くよ??僕がここにいることに異存はないね??」
「………………………はい」
答えるまでに間があったのは、目の前の誘惑と闘っていたからだ。
そして奏は誘惑に屈してしまった。