誠-巡る時、幕末の鐘-



その言葉を聞き、レオンは勝ち誇ったかのように、にっこりと笑った。




「最初から素直になればいいのに。ほら、奏ちゃん」


「うーっ」




沖田から焼き菓子を手渡され、一口口に入れると、途端にご機嫌になった。




「おいし〜い!!さすが潮様!!」


「あ〜!!奏達だけズリィよ!!俺も俺も」


「俺もくれ!!」




側で見ていた藤堂達も菓子の周りに集まり始めた。




「そういえば一人で何をしに来られたんです??」




レオンは今日は珍しく一人で来ている。


奏は初め、三大魔王が三人共いつものように来ているのかと思ったのだ。


だから客と聞いた時、脱走を企てた……未遂に終わったが。




そういえばまだちょっと顔が痛い。


人間だったら脳震盪で死んでるよ!!




奏は自らが鬼であったことに、心から感謝せずにはいられなかった。



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