誠-巡る時、幕末の鐘-
「ここで孫と待ち合わせをしているの」
「そうなんですか??いいですね、お孫さんとだなんて」
奏と珠樹には祖父母が生まれた時からいなかった。
代わりに爺がいたが、術で姿を老けさせていたので、本当の老人ではない。
だから、奏は少しだけ、その孫が羨ましく思えた。
「フフフ。あなた達は仲がいいのね??」
『どこが??』
珠樹と沖田の声が謀らずも重なり、互いを睨んだ。
どうもこの二人、日頃余り他人に対して感情を表に出さないのに、二人の間では露骨に現れるようだ。
「喧嘩する程仲がいいっていうでしょ??」
『よくないね』
まったく。
即答にも程がある。
「お祖母様、お待たせしました」
涼やかでいて、少しだけ低い声が響いた。