誠-巡る時、幕末の鐘-



「ここに来る前に自分の仕事を済ませてきたら??土方にまた怒鳴られるんじゃない??」


「土方さんに怒鳴られたって全然何ともないから平気だよ。むしろ君こそ、自分のやるべき仕事がいっぱいなんじゃない??」


「でも奏との約束の方が優先だからね。君、もう食べ終わったなら帰りなよ」


「残念だけどまだ食べ足りないんだ。まだ当分いるつもりだから君が帰っていいよ。あ、帰るのは君だけね。奏ちゃんは置いてって」


「奏は僕と来たんだから僕と帰るに決まってるでしょ??あんたこそ一人悲しく帰れば??」




こんなやり取りがしばらく続いた。


向こうから聞こえてくる怒声も、激しさを増す。


珠樹に至っては、二人称が君からあんたに変わっている。


そして何気に土方だった。


呼び捨てだった。




うん。


聞いてないから良し!!



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