誠-巡る時、幕末の鐘-
「あ〜!!奏達じゃん!!」
巡察中だった藤堂が騒ぎを聞きつけ、こちらに走ってきた。
何故か響も一緒だ。
「いい所に来たね、平助。何とかしてよ」
「やだ」
あざやかな即答だ。
「何でさ。巡察当番平助でしょ??仕事ちゃんとしなよ」
「君が言うと全く説得力ないね」
「まぁ、それは置いといて。奏がキレてる理由って甘味だろ??」
「うん」
「こっちが危ねぇじゃん」
藤堂は職務を今だけは放り出した。
さっきまではきちんとこなしていたのでこれくらい。
一緒に回っていた隊士達も誰もその事を口に出さない。
今までの経験論だ。
甘味でキレた奏さんには手どころか口も出すな。
先輩隊士から後輩隊士へまず最初に教えられる教訓だ。