誠-巡る時、幕末の鐘-
「はぁ。使えないね、君達」
「何だって??」
血気盛んなお年頃の藤堂は珠樹を睨み付けた。
「じゃあ、君には何か手はあるの??」
「もちろん。響、これを」
「…あぁ、分かりました」
響に珠樹が手渡したのは新しい甘味だ。
響はそれで珠樹の考えを察知した。
「奏〜。こっち向いてくださ〜い!!」
響はそのまま奏の後ろに立った。
「ん??」
奏は響の声に反応し、顔だけ振り向いた。
「はい、ど〜ぞ!!」
響は奏の口に甘味を突っ込んだ。
「おいし〜。この甘さ最高」
奏は男の襟元から手を離した。
もう奏は男の方に見向きもしていない。
甘味に夢中だ。
「ほら早く連れていってよ。仕事でしょ??」
珠樹が藤堂に促した。