誠-巡る時、幕末の鐘-
早い話が、聞き出すのが第五課長という点。
これこそが大問題、それに尽きる。
第五課長であるレオンは、職務上、神事を執り行うこともあり、神の子羊とまで言われる大層見目麗しい青年である。
所作や言葉の選び方一つとっても洗練されており、歳のわりに童顔なのも相まって、にこりと微笑めば天上の天使もかくやと思わされる。
しかし!
彼の本性は腹黒という言葉では生易しいほどドス黒い。
今まで、情報を聞き出すという名目で、数多の尋問が彼によって行われてきた。
が!
ほぼ全ての罪人が精神に異常をきたし、現在も医薬を司る第六課で治療中。
中には、もうすでに千年単位で治療を受けている者もいる。
うわごとで、
「もう一息に殺してくれぇ!」
と叫ぶ者がいたとかいなかったとか。
そうした理由から、彼は元老院三大魔王の一人に数えられている。
ちなみに、三大魔王という呼び名の考案者はリュミエールである。
三大”魔王”だからといって、そう呼ばれる三人の本性が魔王というわけでもない。
最強・最恐・最凶。
その三大魔王のうち、最凶の名は伊達ではなかった。