誠-巡る時、幕末の鐘-
「俺から見れば人間の方がよっぽど鬼だがな」
(……私達本物よりもね、時に人間からなる紛い物の方が恐ろしい。
恨み、妬み、憎悪の気に満ちた人間は鬼に墜ちると古来から言われているしな)
「それでは、私は失礼します」
「あぁ」
星々は深く頭を下げ、また風と共に消えた。
(……はぁ。
……何だかんだでここにいることになってしまった。
響、大丈夫かな。男ばっかりなのに。
釘さしておかないとな)
この考え。
自分も女だということを完璧に忘れているとしか思えない。
嫌々ながらもここにいることを余儀なくされた奏は、深い深い溜め息をついた。