誠-巡る時、幕末の鐘-



「あれ??やっぱり来てたんだ」




部屋の障子が開き、また人が増えた。


入ってきたのは人ではないが。




「……レオン様??一体どなたを腕に抱いていらっしゃるんです??」




部屋に入ってきたのはレオンとナルだ。


レオンの腕には見間違えだろうか、幼い少女が抱かれている。




「それは後。座布団」


「はい」




こちらには徹底的に逆らえないので、さっと座布団を出した。




「で??冥府の官吏がまだ日のあるうちにこちらに来るなんて、何があったの??」


「相変わらず自己中心的な話の進め方だな」




忘れてたーっ!!!!!


こいつ、レオン様に人間でありながら楯突いた二人のうちの一人だったーっ!!!!!




奏はもう、冷や汗をだんらだらだら流していた。


体中の血の気がさーっと引いた。



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