誠-巡る時、幕末の鐘-
「ふ〜ん。君も相変わらずそうだね」
「当たり前だ。そうころころ人格が変わればたまったもんじゃない」
「そうだよね。血を吐くぐらいの大失恋の痛手もがんばって乗り切れたぐらいだもんね。君の人格は本当に凄いね」
「……」
レオンの言葉に篁は押し黙った。
昔の古傷に触るのではなく、古傷をえぐり、その上から塩を塗り付けた。
レオンはニコニコと笑ったままだ。
出たーっ!!!
魔王が出たぞーっ!!!
逃げろーっ!!!
やっぱり駄目だーっ!!!
逃げたら殺されるぞーっ!!!
「そ、それで??今回の用向きは??」
奏はこれ以上レオンの被害が他に及ばないうちにと、先手をうった。
「………冥府に来るべき魂がまだ来ていない」
「……は??」
奏は一瞬、レオンの腕の中ですやすやと寝ている少女を見た。