誠-巡る時、幕末の鐘-



「ほら、こっちにおいで」




沖田が横に座るように促した。


澪ちゃんは迷いながらもとことこと歩いてきた。




「どれが食べたい??」


「んと、これ」


「はい、どーぞ」


「ありがとうございます」




他の言葉は舌足らずながらも、挨拶だけはしっかりしているのは指導の賜物だ。




「おねえちゃん、いっしょにたべよ」


「え、あ、うん!!」




響がまだ一口も食べていないのに気づき、手渡した。




「あ、そうだ!!まだ名前を言ってなかったね。私、音無響っていうの。よろしくね」


「ひびきおねーちゃん??」


「そう。響でいいよ」


「分かった」




和やか〜な雰囲気が流れている。


この二人の間だけは。



< 709 / 972 >

この作品をシェア

pagetop