誠-巡る時、幕末の鐘-



「そ、それはそれは」




命知らずがいたものだ。


普通ならこう考えるだけだ。


だが、今回はそうもいかない。


盗まれたブツがブツだ。




「なぁ、その鬼切と羅針盤って何だ??」




藤堂がレオンに尋ねた。




「鬼切っていうのは鬼を切れる刀。一口に切れるって言っても、身体だけじゃなくて力の源も削いでいくんだよ」




その言葉に珠樹が反応した。




「羅針盤って言うのはこの世の森羅万象を一つの盤上に移し替えたもの。これさえあれば大して力がなくとも全てが自由自在になれる代物だよ」


「お、おい。それが盗まれてここにいるってことは……」




土方が食べる手を止めて眉間にシワを寄せた。




「犯人が京都にいるんだよ」




レオンはさして重要ではないという風に答えた。



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