誠-巡る時、幕末の鐘-



「そういう訳だから君達三人気をつけてね。特に奏は顔を知られてるから」




レオンは奏、珠樹、響に遅すぎる注意を呼びかけた。




「犯人捜し出して取り戻すべきでしょ??」




珠樹が当然のことを口にした。




「犯人は見つけてるよ。今は泳がせてるの」




それに、と話を続けた。




「……こんな愉快な体験をさせてもらってるんだからきちんとお礼はしないといけないでしょ??どんな風にしようか今考え中なんだ」




美しいお顔で、ニコリ。


微笑みなさった。


だが、背負うものは暗黒のそれ。




奏は逃げ出したい衝動にかられたが、澪ちゃんを残していく訳にはいかない。


自分の中の忍耐を総動員して、夕食の時を乗り切った。




誰か……私を褒めて……。



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