誠-巡る時、幕末の鐘-
袖すり合うも多少の縁
―――翌日
「かなで、おきて。とし、おこってる」
奏は小さな手に揺り起こされた。
日が昇って大分立つ。
朝に極端に弱い奏はまだ起きれていなかった。
「あともう少しだけ」
「だめ。とし、おこってるよ??」
奏は渋々起きた。
自分を起こした少女を見て、まだ眠そうな目でぱちぱちと瞬きをした。
「あ〜、そうか。澪ちゃん来ていたんでしたね」
「うん。かなで、はやく。とし、おこってるよ??」
「とし??」
奏は澪ちゃんの言葉に首を傾げた。
「としがね、まだおきないのかって、いってた」
「あ〜。土方さんですか。分かりました。今行きますから」
かけてあった羽織を肩に引っかけ、澪ちゃんを抱いて部屋を出た。