誠-巡る時、幕末の鐘-



―――大広間




「ふぁ。おはようございます」


「あぁ、おはよう」


「おそようの間違いだろうが」




欠伸を噛み殺しながら入ってきた奏に、土方は眉間にシワを作っていた。


朝食の時間が終わってから大分経つのか、大広間に残っているのは近藤と土方だけだ。




「響はどこです??」


「今は台所で洗い物をしてくれているはずだ」




近藤が食後のお茶を飲みながら言った。




「そうですか。ちょっと出てきますから響のことお願いしますね」


「あぁ、分かった」


「おめぇも狙われてるかもなんだから気を付けろよ??」


「了解」


「どこいくの??」




澪ちゃんが心配そうな顔を見せた。


土方達と仲良くなったとはいえ、心細いのだろう。


奏の着物の裾をぎゅっと握り締めた。



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