誠-巡る時、幕末の鐘-
―――市中
「引き受けたものの、どうやって探そう」
響は奏が屯所を出た後、買い物に来ていた。
いつもは奏か誰かがついていくが、今は誰もいない。
「えっと……。確か、顔に刀傷がある二十歳ぐらいの男の人…だったかな??」
昨日奏の所に書類が届いて見せてもらっていた。
「それらしい人はいないなぁ」
響はキョロキョロと辺りを見回した。
だが、やはりすぐには見つからない。
歩いていると、いつもの八百屋に着いた。
「あら、響ちゃんやないの。今日はどれや??」
顔馴染みになった八百屋のおばさんが響の姿を見つけ、店先へ出てきた。
「こんにちは!!」
響は元気よく挨拶をした。