誠-巡る時、幕末の鐘-
「あなたは……鈴さん??」
そこに現れたのは、二藍色の着流しの袖に手を入れている鈴だった。
「まったくお前も大人しく屯所にいろよな」
鈴が刀を抜いた。
響は一度斬られそうになったことがあったので思わず身体をすくませた。
だが、鈴の刀が響に届くことはなかった。
「おい、てめぇら。何があったか知らねぇがここらにしておけ??おっかねぇ新撰組が来るぞ??」
鈴は刀の切っ先を男達に向けた。
言葉とは裏腹にいやに好戦的である。
瞳も妙な輝きをおびている。
「ちっ。行くぞ」
「あぁ」
男達は鈴を睨み付け、足早に立ち去っていった。
新撰組の名が効いたらしい。
おそらく攘夷志士だったのだろう。