誠-巡る時、幕末の鐘-
「あ、ありがとうございました!!」
響は頭を深く下げた。
何も考えずに飛び込んでしまったので、取り返しのつかないことになっていたかもしれない。
そう考えると、鈴がいてくれたことに安堵せざるをえなかった。
「あぁ。お前も大丈夫か??」
「うん。お姉ちゃん達、ありがとう!!」
男の子は手を振りながら去っていった。
「それじゃあ失礼します」
「……」
響は買い物と人探しを再開するために、鈴に軽く会釈をし、八百屋に戻った。
鈴は立ち去らず、八百屋の外の壁に背をもたれかけた。
「あ、あれ??」
八百屋から出てきた響が驚くのも無理はない。