誠-巡る時、幕末の鐘-
「……そういや珠樹はどこだ??」
鈴は奏の側に珠樹がいないことに気が付き、不思議そうにしている。
「珠樹は今、里の復興に向けて大詰めしてる」
「ふーん。大変だねぇ、長の仕事も。俺気楽でいいや」
鈴はけらけらと笑った。
「かなで、かなで。みて!!」
澪ちゃんが興奮気味にある冊子を手に走って戻ってきた。
実に見覚えがある冊子だ。
「これ、そうじにもらった。よんで??」
「こ、これは……」
その名も豊玉発句集。
言わずとしれた土方の句集だ。
「み、澪ちゃん。これはねぇ……」
「お!!これが噂の発句集か……どれどれ??貸してみな」
「はい!!」
澪ちゃんは期待に目を輝かせている。
沖田は一体何と言って渡したのか。