誠-巡る時、幕末の鐘-



「副長、巡察の報告書です」




斎藤が広間にやってきて、土方に手渡した。




「おう。ご苦労だったな。まったく、総司の奴もこれくらい真面目にしてくれると助かるんだけどな」




土方は長いため息をついた。


残念ながら、その日が来るのはいつになることやら。




「ひどいですね、土方さんは。僕もちゃあんと仕事してるじゃないですか」


「嘘つけ!!おめぇは俺の仕事の邪魔ばかりしてんじゃねぇか!!」




ひょっこりと沖田も広間に顔を出して、反論した。


それに間髪を入れずに土方が怒鳴り返した。


広間にはだんだんと人が集まってきている。




「総司、あまり副長に迷惑をかけるようなことをするな」


「そうじ、としね、あのほんよんじゃだめだって」




斎藤が沖田に物申していると、澪ちゃんがとことこと歩いてきた。



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