誠-巡る時、幕末の鐘-



「何、床下に隠れてるの??とっとと出てきなよ」




レオンには何でもお見通しだ。


奏が床下に隠れたことぐらいとっくに承知済みだ。


……しかし、いきなり刀を突き刺すのはいかがなものか。


刀は見事貫通し、図ったように今、奏の目の前で刃がきらきらと輝いている。


髪の毛の二三本は持っていかれたかもしれない。




「三、二、い「何でございましょうか!!」




奏は得意の早業でレオンの元に姿を現した。


顔が非常に引きつっている。




「鷹、鷹、いないの??」


「い、いますいます!!ここにいます!!」




庭の方から鷹の声がしたと思うと、縁側から広間に入ってきた。




「これ、夕食の時までに直しといて」


「了解!!」




鷹はそそくさとどこかへ消えた。


道具をとりに行ったのだろう。


……便利な式だ。


奏の主も鷹の主もレオンではないはずだが。



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