誠-巡る時、幕末の鐘-



「響を掛け合いに出すなんて……」




奏はぎりっと唇を噛みしめた。




「人の弱みは有効な時に使わなきゃ駄目だからね」




レオンは神々しい笑顔で綺麗な毒をまいた。


この毒は即効性抜群だ。




「……やればいいんでしょう、やれば。分かりました。やりますよ」




奏は降参とばかりに諸手を上げた。


最初から最後まで目の前で笑うこの青年に楯突けるなんて思っていない。




「だから何があんだよ??」


「実はな」




後からやってきた三人が斎藤から説明を受け、目を輝かせた。


そして……。




『俺達も行くぜ!!』




想像を裏切らない言葉が返ってきた。


目を輝かせている三人が心底憎らしい、そう思った奏。


当然、八つ当たりの鉄拳が三人の頭に落ちた。


哀れな三人よ。



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