誠-巡る時、幕末の鐘-
「ナルは当然行くとして、珠樹はどうする??」
問題を引き起こしている自覚がないわけでもない奏は珠樹に話を振った。
「もちろん僕も行くよ」
「あの、奏??私は彼らがいるので残ろうと「あぁん??」…行きますね」
「よし」
ナルは奏に襟元を掴まれた。
やくざみたいにすごまれてしまったので、思わず返事を返してしまった。
途端に奏の機嫌は直り、食後のお茶をズズッと飲んだ。
「鷹」
「………ナンデスカ??」
レオンが鷹の名を呼ぶと、庭から影のように現れた。
悲しい習性だ。
どんなに嫌でもレオンに呼ばれたら現れなくてはいけない。
昔、一度起きた悲劇。
あれがまだ記憶に鮮明に残っている鷹は抵抗する気すら起こさない、起こせない。
あぁ、どこで間違ったよ、俺。
哀れな烏天狗の心の叫びだ。