誠-巡る時、幕末の鐘-
「レ、レオン様??」
「うん??」
笑顔が眩しすぎて怖すぎる。
しかも目が一寸たりとも笑ってない。
ヤバい…ヤバいぞ、これは。
この人、元老院長以外に命令されるの極端に嫌うのに!!
奏は反射的に側にいた原田の背に隠れた。
一番背が高いので、いい隠れ蓑だ。
分かっている。
気休めにもならないということくらい。
分かっている。
次にレオン様が発する言葉くらい。
フッ
「笑っちゃうね」
レオンは唇を軽く上げ、薄く微笑んだ。
彼から出される雰囲気は、寒くなってきた今日この頃、先に冬を先取りした気分にさせてくれる。
「奏、準備して。今から行くよ」
「行くって…」
どこに、と言う言葉は冷えた視線にさえぎられた。
呆れが含まれて見えるのは気のせいか。