誠-巡る時、幕末の鐘-
「見ちゃ駄目だ」
さっと澪ちゃんの目を鷹が、響の目を鈴がふさいだ。
邪悪としかいいようがない笑みを見せるのは忍びない。
「もう行くなら何か羽織るものを持ってこようかな??」
「外はもう寒い。それがいいだろう」
「じゃあ俺も」
皆着々と準備を進め始めた。
レオンは一人、扇を弄んで考え事をしている。
たまに楽しそうにニコニコと笑うところがまた怖い。
「どれくらいかかりますか??」
響が夕食の後片付けを始めながら尋ねてきた。
「分かんない。そうそう簡単には終わらせないと思うし。響、今日は泊まってったら??」
「そうですね。父様もこの頃家に帰っていませんし」
「鷹、お前、ちゃんと見とけよ??」
「分かってるよ。こいつらだろ??」
そう。
鬼切はレオン様が動くとなってからはあまり心配していない。
むしろ心配なのは鈴だ。
なーんか怪しい。
女の勘と鬼の勘が同時にそう告げている。
響はそんな二人の会話を聞いて不思議そうに首を傾げていた。