誠-巡る時、幕末の鐘-
「おい、奏。お前、確かに口には出してねぇけどさ」
「なんていうか…」
「あ〜。顔には出てるぞ??」
「…………うそ??」
「だったらいいなぁとか思っても駄目だよ」
「君の顔の厚さを奏にも分けてあげたいね」
「へぇ??喧嘩売ってる??」
「そうだよって言ったら??」
沖田と珠樹はにこやかに刀に手をかけた。
そして異様な笑みを浮かべてお互いを牽制しあっている。
「た、珠樹まで……ってことは…」
不穏な空気が二ヶ所で流れているのもものともせず、奏は冷や汗を流していた。
珠樹は直接こそ言わなかったが、あれは土方達の言葉を肯定してるようなものだ。
寒い!!
寒いよぉ!!
冬なのに汗が出てるよぉ!!
「奏〜??」
レオンが猫なで声で奏の方を振り返った。
「ハィィイッ!!!?」
緊張のあまり、語尾が異常な程上がってしまった。
我ながら思う。
……馬鹿過ぎる。