誠-巡る時、幕末の鐘-
「そんな所にいないで手伝ってよ。彼、なかなか強情だから」
ホッと奏が胸を撫で下ろしたのは言うまでもない。
この際、他人のことはどうでもいい。
可愛い可愛い我が身のため。
たとえ相手が神の子羊と謳われるような厚い厚い厚すぎる皮をひっかぶっていようとも。
私、雷焔奏。
泣く泣く大魔王の手足になりましょう。
あぁ、神様。
この世は何かが間違っています。
奏は悲壮感を漂わせつつ、レオンの側へ足を運んだ。
「うわっ!!首、首しまってます!!」
もちろん、ナルを引っ張っていくのは忘れない。
本当にしまってたら会話できないし。
馬鹿か??
馬鹿なのか??
あぁ、もうどうだっていい。
奏の心はたった数刻でやさぐれていた。
それを見ていた沖田と珠樹以外は
『ナル、お前って奴は…くっ!!』
心の中で鼻をすすり上げていた。