誠-巡る時、幕末の鐘-



「ナル、ナル!!」


「は、はい。何ですか??」


「あれ、マヂだよ!!」


「そうですねぇ」


「あいつ、どうなっちまうんだ??」




藤堂が奏に恐る恐る尋ねた。


奏は顔を引きつらせて無理矢理笑顔になった。




「良くて重度の精神病、悪くて一生起き上がれない」


「あ、ちなみに一生起き上がれないというのは死ぬって意味です」




ナルがご丁寧に言葉を付け足した。


嘘ではない。


それが今までレオンの手によって行われてきた、尋問という名の拷問の結果だ。


もう一つおまけに一切本人は何とも思っていない。




「んぎゃあぁぁぁぁっっ!!!」


「そ、そろそろ止めた方がいいと思うぜ??」


「あ、あぁ」


「そ、そうだよね。これ以上するとあれだし」




(俺達の精神状態が!!!)




みんな考えることは同じ。


一刻も早くこのおぞましいモノを終わらせたい。


今、一番の願いだ。


寺にも関わらず、みんな本堂の方へ手を合わせていた。



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