誠-巡る時、幕末の鐘-
「ねぇ、早く返してよ」
レオンは刀を男の顔にペチペチと当て、にこやかに尋ねた。
「ふぁい、ふぉーほ(はい、どうぞ)!!」
ろれつが回っていないながらも、服の長い裾から羅針盤を出した。
男の状態からは信じられないほど無傷だった。
「鬼切は??」
「ふぁ、ふぁふぇふぁ(あ、あれは)………」
男がすうっと目をそらす。
様子がおかしい。
「もう一度聞いてあげる。鬼切は??」
「…………ふぁふぇふぁ、ふぁふぁふぃふぁ(あれは、渡した)……」
ぼそっと答えた男。
明らかに今までの様子とは変わっている。
「なぁ、平助。何て言ってるか分かるか??」
「全然!!」
「レオン様はあぁいうのに慣れてるんだよ」
『なるほど』
みんな奏の言葉に納得だ。