誠-巡る時、幕末の鐘-



「ねぇ、早く返してよ」




レオンは刀を男の顔にペチペチと当て、にこやかに尋ねた。




「ふぁい、ふぉーほ(はい、どうぞ)!!」




ろれつが回っていないながらも、服の長い裾から羅針盤を出した。


男の状態からは信じられないほど無傷だった。




「鬼切は??」


「ふぁ、ふぁふぇふぁ(あ、あれは)………」




男がすうっと目をそらす。


様子がおかしい。




「もう一度聞いてあげる。鬼切は??」


「…………ふぁふぇふぁ、ふぁふぁふぃふぁ(あれは、渡した)……」




ぼそっと答えた男。


明らかに今までの様子とは変わっている。




「なぁ、平助。何て言ってるか分かるか??」


「全然!!」


「レオン様はあぁいうのに慣れてるんだよ」


『なるほど』




みんな奏の言葉に納得だ。



< 763 / 972 >

この作品をシェア

pagetop