誠-巡る時、幕末の鐘-



―――屯所




「響〜!!ただいま〜!!」




帰るなり奏は響に飛びついた。


今までこの世で一番黒いものを見ていた。


その反動だ。


響は真っ白だから。




「お疲れ様でした。みなさんも。はい、お茶用意してましたから」


「ありがとな」


「くーっ!!優しさが目に染みる!!」


「俺も俺も!!」




みんな口々に響を褒めあげた。


優しさって目にもくるらしい。




「さて、僕は帰るとするよ。鷹、彼を運んで」


「…了解しました」




奏達とは真逆に今までゆったりまったりしていた鷹は戻ってきた現実に目をつぶりかけた。




「みお、まだここにいる」




横では澪ちゃんがミエにおねだりをしていた。


可愛らしく目をきょるんとしている。


そしてミエはこの仕草に滅法弱い。



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