誠-巡る時、幕末の鐘-



「ではまた皆さん目を瞑ってください。……目ぇ瞑らないと、今度は連れていかれますよ?」




そう言い終わるか終わらないかの間に、もうみんな目を瞑っていた。




(早ぇ〜な!!しかも今度は例外なく全員瞑ってるし)




「…もういいですよ」




一瞬風が起きたかと思うと、奏はそう言った。




「あれは何なんだい?」


「あれはここにいた者達ですよ? ずっと前から」




みんなの顔からサァーッと、血の気が引いていった。


自分達は知らずにここで生活していたのだ。


いくら見えない聞こえないとはいえ、気持ちの良い話ではない。



< 77 / 972 >

この作品をシェア

pagetop