誠-巡る時、幕末の鐘-



「いや、澪ちゃん残りますし。千早もいるみたいですし。残らないとなぁと思って」




ニコニコとそう返した。




「あっそ。……で、あんたらは??」




奏はまだいた紫翠と鈴に目を向けた。




「俺達??」


「一旦帰る」


「そうだな」


「一旦じゃなくてそのまま帰れ。むしろ戻ってくる前提にするな」




奏は紫翠の言葉を一蹴した。




「んじゃ、またな」


「うん、またね〜!!」




澪ちゃんの頭をぽんぽんと叩き、二人も屯所を出ていった。




「終わった。……長かった」


「あぁ」


「疲れた」


「あぁ〜俺明日巡察当番じゃん」


「がんばれ」




こうして長く、恐ろしい夜は終わりを迎えた。


だが、新たな事件は刻一刻と迫っていた。


その事に気付いた者は……誰もいなかった。



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