誠-巡る時、幕末の鐘-
血は水よりも濃い
―――二日後、近衛邸
「さぁ、どうぞ」
「ありがとうございます!!」
忠興は奏の前に珍しいと言われる洋菓子を出した。
「鎖国をやめて異国と関わるようになりましたからね。……口にあいますか??」
「もちろん!!」
奏は機嫌よく答えた。
「そうですか。よかった」
「も〜幸せです」
「……あ、ちょっと失礼します。どうぞ食べていて下さい」
忠興はそう言って襖の向こうに消えていった。
「……しびれ薬か??」
忠興がいなくなった後、奏はじっと目の前にある菓子を見た。
中にはおそらく……しびれ薬が混じっている。
「近衛家か、それとも他の奴か」
奏はホイホイと気軽に来たことに若干後悔し始めていた。