誠-巡る時、幕末の鐘-
「ま、とにかく。何かあったら知らせてよ」
「はぁぁ〜。分かったよ」
鷹はそう言って近衛邸に侵入していった。
足音さえ立てずに気配を殺し、忍びやかに目標に近づく。
鷹がその気になれば、奏でも気配を探るのは難しいだろう。
あれで優秀だからなぁ。
いつも一言多いけど。
使い勝手がよすぎてみんなに使われるんだよなぁ。
烝もぜひ弟子入り志願したいって言ってたし。
監察方である山崎はその任務柄あまり屯所にいることはないが、どうやら鷹を師匠にしたいらしい。
今でも十分すごい仕事ぶりだと思うが。
奏は雪空の中、寒がりにも関わらず、のんびりと屯所に戻った。