誠-巡る時、幕末の鐘-
「珠樹??機嫌治った??」
奏が部屋の方から小走りに走ってきた。
珠樹が笑っているのを見て、不思議そうにしている。
「うん。いいこと聞けたしね。じゃあ斎藤さん、奏のこと頼んだよ」
「……あぁ」
「??珠樹は行かないの??」
絶対ついてくるって言うかと思ってたのに。
「僕はやることがあるからね。じゃ、また後でね」
珠樹は奏の頭を軽く撫でると、外に出ていった。
「変な珠樹」
「………奏、巡察に行くぞ」
斎藤が歩きだしたのを見て、奏も慌てて後をおった。
「奏も面倒な奴らにばっかり好かれやがって。……あの三人、本気で似てやがる」
土方の頭には双子と沖田の顔が浮かんでいた。
それを頭を振ることで押し退け、山積みになっている仕事へと戻った。