誠-巡る時、幕末の鐘-
「一君」
「あぁ」
屯所へと戻ろうとした奏達を取り囲むように影がたくさん伸びた。
「お前達、何者だ??」
斎藤の厳しい声音が暗い夜の京に響いた。
奏達はすらりと刀を抜く。
「幕府の犬どもめ」
「貴様らのせいで正義がまかりとおらない」
取り囲んだ影、男が口を開いた。
相手はざっと十五人はいるだろう。
対するこちらは七人。
数でいえば不利だった。
「貴様らにはここで死んでもらう!!」
男が切りかかってきた。
それを合図に他の男達も刀を抜き、迫ってくる。
キンッ!!
「正義ねぇ」
「そうだ!!俺達はその正義のために戦っている!!」
奏は間違って切りつけないように細心の注意を払って刀を受けとめた。