誠-巡る時、幕末の鐘-



「正義正義って……人殺したら正義じゃないでしょ」


「綺麗事を!!多少の犠牲はやむをえん!!」




キン、キン!!
カシャン!!




「それこそ綺麗事だね。正義ってつけたら何でもまかりとおるって??」




フッ




カッシャーン!!




男が持っていた刀が地面に転がっていった。




「くっ!!」


「はい、終わり。……一つ教えてあげる。幕府を倒しても何も変わらないよ。……武士の世が終わるだけ」


「何をっ!!」


「奏、そいつを連れてこい。屯所に連れていく」


「了解」




男は縄できつく縛られた。




「さ、立って」


「くそっ!!こんな所で!!」




男は悪態をつきつつ顔をうつむかせ、立ち上がった。



ニヤリ




「かかったな!!?」


「なに!?」




男がばっと顔を上げた。


そこには捕らえられた弱々しい者の表情はなかった。



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