誠-巡る時、幕末の鐘-



「一君、危ない!!」




奏の目の前には斎藤の背後に迫った刀を持った男の姿があった。


物影に隠れていたのだ。


すでに刀を納めていた斎藤はその声でばっと刀に手をかけた。




その時………




ザシュッ!!!




生暖かい赤い液体が斎藤の頬に飛んだ。




「…か…なで??」


「……かはっ!!」




斎藤と男の間に奏が自分の身をすべりこませていた。


口からは血がぽたりぽたりと流れ、右肩からは血が溢れだしていた。


がくりと膝をつき、地面に倒れた。




「くそっ!!」


「貴様っ!!!」




斎藤に激情が走った。




ザシュッ!!




斎藤の刀が月の光に照らされ、輝いた。


赤く赤く。


それを見ていた奏はそこで意識をとばした。



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