誠-巡る時、幕末の鐘-
「……うなされてて。嫌な夢を見てるみたいで。…でもそればかりは私、何もできなくて」
響の目にも涙が浮かんだ。
奏の手当てをしながらもずっと堪えてたのだろう。
一気に涙腺が崩壊した。
それ位今回は危なかったのだ。
スッ
「…響。どこ……??」
大広間の襖が開いたかと思うと、奏が立っていた。
「奏!!」
「お前、何起きてんだよ!!」
「寝てろって!!」
珠樹がさっと駆け寄り、体を支えた。
永倉や原田からも叱責の言葉がとぶ。
「響、いきなり消えたから心配した」
「すみません」
「何を泣いている??泣かされたのか??」
奏は珠樹に支えられながら響の前に座った。
流れる涙をぬぐい、優しい声音で問いかけた。
「違います!!」
響は頭を撫でられ、声を押し殺した。
血を大量に流したせいで手はいつもよりずっと冷たかった。