誠-巡る時、幕末の鐘-
「君はずっと奏ちゃんの側にいられる。僕達はせいぜい後五十年。……それまで大切に思われたっていいでしょ??」
「迷惑なんだよ!!奏は僕とずっと一緒だって言ってくれた!!……もう奏しかいないんだよっ!!」
珠樹は思いのたけを全て吐き出すかのように叫んだ。
初めはただ笑って側にいてくれればよかった。
目障りな人間も我慢できた。
でも……。
奏はどっちが大事??
昔は家族以外は誰と比べても自分だと言ってくれた。
時には家族と比べてさえも。
……今は違う。
奏はきっとこいつらを選ぶ。
いつかこいつらをかばっていなくなる。
………嫌だ。
奏がいなくなるのなんて耐えられない。
誰にも渡したくない!!
もう自分には奏しか………。
珠樹は唇を噛み、拳を握りしめた。