誠-巡る時、幕末の鐘-
「ねぇ「あの〜」
沖田が何か言いかけた時、屯所の方から誰かが歩いてきた。
「誰??」
「奏が探してるんですけど…。お取り込み中でしたか??」
「君か」
現れたのはナルだった。
改めて二人は奏の部下をまじまじと見た。
この男は自分達より余程長い間一緒にいたのだ。
二人の心の内にあるのは仄暗い嫉妬の炎だった。
「どっちを探してたの??」
「え??どっちって……えっとその……」
「もういいよ。君には聞かないから」
「直接奏ちゃんに聞いた方が早そうだしね」
「すいません」
二人は屯所へと戻ることにした。
珠樹は一瞬、ほんの一瞬誰かに見られた気がしたが、気のせいかと気にとめなかった。