誠-巡る時、幕末の鐘-
―――屯所
「かなで、おうたをうたってあげる!!」
「ありがとうございます」
澪ちゃんが奏が寝かされている布団の横に座って、そう切り出した。
「う〜んと、なにがいいかな??」
「奏、入るよ??」
すっと障子が開いた向こうには、珠樹に沖田、ナルがいた。
「あ、かえってきた!!」
「ただいま」
「澪ちゃん、お歌は今度でいいですか??」
「え??」
奏は響に目配せした。
響は奏の考えている事を理解し、席を立った。
「澪ちゃん、難しいお話があるみたいだから向こうでお菓子食べながら待ってよう」
「おかし??」
「うん」
「いく!!」
澪ちゃんはナルに抱っこされ、響と一緒に部屋を出ていった。
この部屋に残ったのは三人だけだ。