誠-巡る時、幕末の鐘-
「え、あれ??……ごめん。空耳が」
「空耳なんかじゃないよ」
「奏ちゃん、鈍すぎ」
奏は身の危険を感じ、ずりずりと後ろに下がった。
しかし、とうとう壁ぎわまで追い詰められてしまった。
「しまっ…」
ダンッ!!
奏は今、二人の腕と壁、そして二人自身に挟まれている。
逃げ場はどこにもない。
「奏ちゃんが僕達を本気にさせたんだよ」
「だから早くどっちにするか決めて??」
「いや、決めるもなにも」
その時、部屋の障子がガラッと開いた。
「おい!!おめぇら、何やってんだ!!」
奏に粥を持ってきた土方だ。
目の前の光景に一瞬目をしばたかせた後、眉間に皺をよせて怒鳴った。